【病気解説】⑨跛行疾患(関節炎・靭帯損傷・パテラ)
犬の跛行、原因は仮病からパテラ等の病気まで原因は様々!
犬の「跛行」(「はこう」、もしくは「びっこ」と読む)
具体的に言えば犬が足を引きずっている、足を庇う状態のことを跛行と呼んでいます。

飼い犬が急に足を引きずるようになったとか、散歩に行った際になんだか歩き方がおかしいとか、こんな歩き方をしてたかな、など感じたことはないでしょうか。
たまに足を引きずっているかのように見えるけど特に痛がった様子はないということはありませんか。

また小型犬などを飼っていると、突然ひょこひょこ歩くようになったとかいうことはないでしょうか。

そもそも跛行とは?
冒頭でも述べましたが、犬が足を引きずっている、足を庇っている状態で、歩行運動時の異常な歩いている様や姿勢のことを言っています。

犬は2本の前足と2本の後ろ足があり、それらの1本の足、もしくは複数の足に何らかの障害や異常が生じた際に異常な歩き方をしてしまいます。
これが犬の跛行と呼ばれていて、足は、筋肉や腱、関節や骨、そして神経などの組織からなっているのですが、このうちのどれに異常が生じてしまっても跛行になる可能性があると言われています。

- あまり遊びたがらない
- 歩くスピードが遅くなった
- 手足を触られるのを嫌がる
- 寝ていることが多くなった
- 寝起きや運動の開始時がぎこちなくて変
- ケンケンすることがある
- 突然「キャン」と鳴いたりすることがある
これらの症状は痛みかもしれません。
跛行の原因は?外傷や捻挫、筋肉の石灰化等の原因を解説!
では、跛行になる原因とは何なのでしょうか。
外傷や感染以外で考えられることをまとめてみました。
| 原因となる場所 | 原因となる異常 |
|---|---|
| 皮膚 | トゲなどの異物がささっている |
| 筋肉 | 筋炎、断裂、石灰化 |
| 血管 | 血行障害 |
| 神経 | 炎症、断裂 |
| 腱、靭帯 | 断裂、伸張、石灰化 |
| 骨 | 骨折、脱臼、炎症、異形成、栄養不良 |
| 関節 | 炎症、形成不全 |
この他、血管と靭帯以外は共通して、出来物などの腫瘍が原因となる場合もありますので、要注意です。

外傷の場合では、人間と同じで捻挫をしてしまうというケースも考えられます。

その他、原因となる異常の中で石灰化とありますが、これは筋肉や腱、靭帯に見られていますが、硬くなり固まっていくという現象で、痛みを伴い放っておくと動かなくなってしまいます。

犬の跛行の診断方法とは?原因が多岐に渡るので注意!
犬の跛行を診断する方法はどのようなものなのでしょうか。
触診では、足の裏にトゲなどが刺さっていないか、外傷などはないか、筋肉量が極端に少なくないかなどを手で触って確認していきます。

また、それぞれの足や関節を動かしてみて、変な音がしないか、痛がらないか、そして正常な可動域を保たれているかなどを調べます。
そして、次に跛行の程度を探ります。歩行検査では、四肢の負重がどうなっているのかも一緒に確認します。
- ゆっくり歩かせてみる
- 少し速く歩かせてみる
- 階段の上り下りをさせてみる
その後、必要があればレントゲン検査や神経学的検査、超音波検査などが行われます。
その他動物病院によっては、自宅での様子や散歩中に症状が出ている様子を動画で撮影して、獣医に見せることで、診察がスムーズに行えたり、診断の助けにもなりますので、おかしいと感じたらすぐに動画に撮っておくのも良いかもしれません。

跛行を引き起こす有名な疾患
- 膝蓋骨脱臼(パテラ)の原因や症状、治療について
- 前十字靭帯断裂の原因や症状、治療について
- 変形性関節症の原因や症状、治療について
- レッグ・カルベ・ペルセス症(大腿骨頭無菌性壊死症)とは
- 成長板早期閉鎖の原因や症状、治療について
①:膝蓋骨脱臼(パテラ)の原因や症状、治療について

1つ目の膝蓋骨脱臼(パテラ)について見てみましょう。
字だけ見るとすごくわかりにくいですが、膝蓋骨とはひざのお皿のことを言って、これが正常な位置からずれてしまうことを膝蓋骨脱臼と言います。
原因の多くは遺伝によるものとされていますが、外傷などが原因で起こることもあります。
更に、トイプードルやチワワなどの小型犬には内側へ脱臼してしまう内方脱臼が多く見られ、ミニチュア・ダックスフンドや大型犬には外側へ脱臼してしまう外方脱臼が多く見られると言われています。
症状は重症度によって、以下のように分類されます。
- グレード1:膝蓋骨は正常な位置にあり、指で押すと脱臼しますが、指を離すと自然に正常な位置に戻ります。ほとんどの場合は無症状で、激しい運動をしたときなどに脱臼することがあります。
- グレード2:膝蓋骨は正常な位置にありますが、膝を曲げたり指で押したりすると脱臼しますが、膝を伸ばしたり指で押せば元の位置に戻ります。脱臼を起こすと跛行などの症状がみられます。
- グレード3:膝蓋骨は脱臼したままで、指で押してもすぐに脱臼します。骨の変形がみられるようになり、跛行の症状が目立ってきます。
- グレード4:膝蓋骨は常に脱臼した状態で、指で押しても元の位置には戻りません。骨の変形がみられ、歩くのを嫌がったり、うずくまったような姿勢で歩いたりするなど、重度の跛行がみられます。
治療法はグレードや症状の有無などによって異なり、軽度であれば消炎鎮痛剤やサプリメントの投与といった内科的治療を行ったり体重管理をしたりしますが、重度の場合には手術が必要になります。
②:前十字靭帯断裂の原因や症状、治療について

2つ目の前十字靭帯断裂について見てみましょう。
前十字靭帯とは膝の中にある靭帯で、なんらかの原因でこの前十字靭帯が切れてしまうことを前十字靭帯断裂といいます。
遺伝や肥満、老化などが発症の要因だと考えられていて、膝関節に急激な負担をかける動きをしてしまうことで起こってしまいます。
靭帯の損傷の程度によって、部分断裂と完全断裂があり、放置してしまうと半月板の損傷や変形性関節症へと進行してしまうこともあります。
靭帯が断裂した直後は痛みから足を地面につけないで歩いたり足を引きずるように歩いたりするなどの跛行の症状がみられ、足を外側に投げ出すような姿勢で座ることもあります。
ただし、2.3日もすれば痛みは緩和されて元にもどったかのように思われますが、治療を行わなければ靭帯は損傷したままなので、病気はどんどん進行していきます。そのため、最初にこういった症状が表れたらすぐに診てもらいましょう。
③:変形性関節症の原因や症状、治療について

3つ目の変形性関節症(OA)について見てみましょう。
変形性関節症は、①の膝蓋骨脱臼や②の前十字靭帯疾患などの病気から起こるものと、加齢に伴っておこるものがあります。
人間と同じで関節を使いすぎたことにより、関節の軟骨が摩耗したり変性することで痛みを伴います。
変形性関節症は痛みが強いため、跛行や食欲の低下、動くのを嫌がるといった症状がみられます。治療は消炎鎮痛剤の投与などによって痛みを緩和したり、サプリメントを投与したりします。
また、肥満は症状を悪化させる要因となるため、運動や食事管理などをして体重を減らすことも大切です
④:レッグ・カルベ・ペルセス症(大腿骨頭無菌性壊死症)とは

4つ目はレッグ・カルベ・ペルセス症(大腿骨頭無菌性壊死症)ですが、これはどういった病気なのでしょうか。
この病気は、1歳未満の小型犬にときどき見られていて、大腿骨頭(後ろ脚の付け根の大腿骨の先端あたり)への血液供給が不足することで壊死を起こしてしまうというもので、はっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝が関係していると考えられています。
痛みを伴うため跛行がみられたり、慢性化すると後ろ足の筋肉が徐々に痩せてきたりします。
レッグペルテスは片足のみに発生することが多く、両足に発生する確率は15%ほどです。
何よりも早期の発見が求められますが、初期の段階でははっきりとした症状が出にくいため、発見が遅れてしまう事もあります。
とにかく、飼い主さんの早期発見が頼りですから、少しの異常もできるだけ見つけてあげましょう。
⑤:成長板早期閉鎖の原因や症状、治療について

5つ目は、成長板早期閉鎖について見たみましょう。
成長板早期閉鎖は、その字の通り成長板が早い時期に閉じてしまうことで起こる病気です。
成長板とは骨が成長する部分のことを言い、成長期には盛んに新しい骨が作られているところなのですが、この骨の成長が止まってしまい、骨格の成長障害が起きてしまうのです。
多くは外傷による成長板のダメージが原因で起こります。

症状
- 前足をとても痛がる
- 前足が湾曲してきた
- 前足をつけない
- 肘を曲げたときに変な音がする
前足に起こることが多いですが、後ろ足に起こることもあるので注意が必要です。
治療
病気の度合いや症状にもよりますが、内科的な治療での改善傾向が見られていないため、外科手術で骨の整復が必要となるでしょう。
跛行の対策は?

では、犬の跛行の対処法はどのようにすれば良いのでしょうか。
まずは毎日飼い犬をそばで見ている飼い主さんが、病気のサインや飼い犬のちょっとした変化にいち早く気づいてあげることが大切です。
散歩中に歩き方が「いつもと違って変だな」と思ったらすぐに対処しなければなりません。
この変な歩き方に気づいてあげることこそが重要なのです。
愛犬の異変にいち早く気づけるのは、飼い主さんしかいないということを肝に命じておくことが大切です。
犬の跛行の対策は?跛行があればすぐに動物病院へ行こう
変な歩き方に気づくだけでは何にも始まりませんから、気づいたらすぐにかかりつけの動物病院に行って、まず診察をしてもらいましょう。
愛犬に跛行が見られたときに一番大切なことは、とにかく何よりもできるだけ早く病気を発見してあげることです。
早期発見・早期治療をすることで症状の進行を抑えることができ、手術を回避できる可能性があります。また愛犬が痛みに苦しむ時間を少しでも減らすことができます。
このようなことにならないためにも、症状が現れたらすぐに動物病院に連れて行きましょう。
こちらは皆さんお待ちかね!
院長先生のユーチューブチャンネルの動画です。
覚悟ある方だけご閲覧ください!!!